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さかいやトップ > アドベンチャーレース応援コンテンツ > 第14回日本山岳耐久レース現地レポ

写真・文/松田直樹
Sakaiya Sports Inc.
2006年度ハセツネカップ 「チームさかいや」 メンバー(6名)

・・・つ、つっ、ついにっ!!

やってまいりました、日本山岳耐久レース!!(通称:「ハセツネ」)

日本国内における山岳レースの最高峰。

奥多摩山塊の稜線に沿って敷かれる、全長71キロメートル、最大標高差1357mにおよぶ超ロングトレイル!

これを制限時間24時間以内でとにかく駆け抜ける!

シンプルでありながら、ひたすら苛酷な山岳レース。



さかいやでも昨年からは、この「ハセツネ」にスポンサーとして関わらせていただいているおかげで、

レース数ヶ月前から少しずつ盛り上がってきておりました。



昨年は始めて「チームさかいや」として1チームを編成して3名が出走しました。

そして、今年は何と6名がチームで参加することに!

さかいや内でのハセツネ人気も年々高まっております。



昨年のハセツネ以来、これまでのレースイベントでは出店スタッフとして関わらせていただいておりましたが、

今回私(松田)は遂に選手として参加させていただけることとなりました!ありがたいことです。



ハセツネに実際に参加してみて、

今度は選手の目線から、大会のレポートをさせていただきます。




 10月8日、レース当日。


緊張のあまり、一睡も出来ず。

前日から風邪の兆候があったが、

夜中はそのためか鼻水が止まらず、喉が渇く。



朝7時、天気はこれ以上無い快晴。



目覚めてシリアルとキウイ果実入りヨーグルトを食べる。体調は正直かなりよろしくない。

この体調で、これから71キロメートルもの山道を延々と走らなければならないと思うと・・・不安!



2週間前に痛めた問題のアキレス腱の調子だが、こちらはあまり痛まない。

2〜3日前までは若干の痛みがあったため、回復直前期になっているのだろう。



この2週間全くランニングの訓練はせず(自転車は漕いでいた)、踵に負担をかけないよう極力意識していたし、

食事も炭水化物とたんぱく質を中心に、普段の1.25倍は摂るようにしていたので、回復が早かったのかもしれない。



それでも、9時頃に念のため痛み止めの薬を服用した。

4時間後のレース開始時には、薬の効果が出てきているはず。



現地には10時に着き、ともに出走する仲間とともに選手控え室(小学校体育館)で準備を整える。

皆テーピングやサプリの摂取、食料のチェックなどに余念がない。

私も、水を2リットル汲み、持ち物の最終チェック、コンタクトレンズの装着などの準備をする。



13時。五日市中学校の校庭に、2004名もの出走者が集う。

凄い人数だ。

そして、この大会の規模の大きさを改めて思い知り、コンペティションならではの熱気がみなぎり、テンションがあがってくる。

こんな雰囲気は私にとっては、小中学校のときの体育祭以来ではないだろうか。



体調は、風邪気味・睡眠不足・アキレス腱に爆弾をかかえるなどですぐれない。

気分の高揚と不安が入りまじり、自分がこのあとまもなく24時間耐久の地獄のエンドレスランに突入することの実感が

マヒしているのか、少々頭の中がボーッとしている状態。



「プァ〜ッ!」という合図とともに、13時。ついに出走。

2004人が一斉に、うごめきはじめる。

凄い混雑で、最初は渋滞の中をゆっくり移動するような感じだが、校庭から公道に出てからは流れが一挙にスムーズになる。

多くのギャラリーに見守られるなか、車道に踊り出る我々選手たち。



まもなく登山道へと突入するが、多くの選手でごったがえし、流れてはいるものの半ば渋滞に近い状況。

ひとつの登山道に多くのランナーが一斉に踏み入るわけだから当然なのだが、しかし異様な光景。

アキレス腱の爆発を意識しながら、慎重かつスピーディに足を進める。そして写真も意識的に撮りまくる。

が、走りながらでは焦点が定まらずうまく撮れない。

天気がよく、気温が高いため、非常に暑い。



この状況は、必ずしも私にとってはよいとは言えなかった。




チームさかいや集合!



2004人が校庭に集い、準備運動。



レーススタート!大混雑!



車道を通過して、登山口へまっしぐら。



いよいよ山へ。いきなり急登がつづく・・・ 。



五日市周辺の街を俯瞰。つかの間の感動。



木漏れ陽の中突っ走る!



登山道につづく数十人の行列。



予備関門(入山峠)。大渋滞!


7〜8km地点を走っているとき、急に両足に激痛が走った。

脹脛が攣った。痛くてたまらず、その場で座り込む。

後を走っていたチームメンバー・杉本に「大丈夫ですか?」と声をかけられながらも追い抜かれる。

5分弱足をもみながら座って様子をみる。

再度出発するが、これ以降は「足がいつ攣るかわからない恐怖」に襲われ続けることになる。



下りでは特に、足全体に異常な負担がかかるため、

飛ばして走ることはせず、ゆっくりめに降りていった。

走れそうな平地だけはできるだけ走り、登りは早歩きで登るようにする。



急な登りでは必ずといっていいほど渋滞している。

ここでうまく立ち止まっては軽く休みながら、歩みを進める。

下りに差し掛かると、時々足が攣るようになる。そのたびに、1分前後立ち止まる。

風邪やアキレス腱痛もかかえた状態で、こんなことでは先が思いやられる。



13km〜17kmくらいを走っている間は、足がピクピク痙攣して、足の筋肉がもうバラバラに分解しそうだった。

気力はまだあるが、足がついてこない。

これくらいの距離は、これまで経験してきた登山でも充分歩き慣れている距離なのに、

トレイルランニングともなると足への負担のかかり方が違うのだろう。

あるいは、ハイペースなのに休憩をまったくとっていないのが悪かったのかもしれないし、

アキレス腱を気にするあまり、無駄に力みすぎたのかもしれない。

ここまでの行動中で体内に摂取したものは、水と黒飴とチーズ1かけらのみ。まだスタミナは持ちそうだったが・・・。



20km地点。標高990m・三国峠に差し掛かったとき。

沈み掛けの太陽と、富士山が目の前に広がる。応援の都岳連のボランティアの方達が何人かいる。

少しばかり癒され、ここで初めて10分程度休憩らしい休憩をとる。




暑い中、延々と続く行列。



振り返ると列はずっと後方まで・・・。



急な登りは、じわじわと膝に効いてくる。



三国峠では眼前に富士山が!



三国峠では一休みする選手が多い。



三国峠から少し登るとそこは20キロ地点。


ここからは下りがメインとなる。

足の痙攣やアキレス腱を意識しつつ、日の入りとともに急激に気温が低下するなかを快調に飛ばす。



第1関門、22.66km地点の浅間峠に着いたのは17時39分。

タイムは4時間39分・この段階では1991人中774位。

ここで20分休憩。

おにぎり1個と乾燥梅干とサプリ1袋を食べる。



あまり長時間休んでいると、身体が冷えてアキレス腱も痛み出すと思い、腰が重くなる前に出発。




日没の瞬間。以降急激に気温が下がる。



第一関門・浅間峠(22km地点)の様子。



夜間はヘッドランプの灯りのみが頼り。


夜の帳に包まれ、夜間走行がはじまる。

気温がぐっと冷え込み、選手のヘッドランプのみがチカチカと光っている深い山の中である。



私にとっては、このコンディションでは何故か走りやすくなった。登りでも快調に飛ばしつづけ、平坦地でも時折走る。



日が出ていたときと打って変わって、足の筋肉が攣ることもほとんどなくなった。

気温が涼しくなったためだと思われる。



結構多くの人を抜かしたと思う。



景色の開けたポイントでは、

関東平野の夜景と月が美しかった。



これはいける!と思った。

完走だけなら絶対いけると。

しかもこのペースならば、16時間〜17時間台は確実。




遠く東京の夜景と月あかり。


アキレス腱もまだ爆発する気配がなく、足は問題なく前へ進む。気分も高揚していた。

ただ、風邪を引いているので、鼻水が絶え間なく流れ出ていた。



ところが、32km地点から大沢山の急登にさしかった付近から、

足が急にすすまなくなった。



シャリバテがきたと思い、路肩に腰を下ろして乾燥梅干を食べ、さらに菓子を少々食べ、サプリを1袋摂取。



その後少し回復して、大沢山(1482m)を登りきる。

三頭山避難小屋があり、ここでまた休憩。35km地点。スタートから、8時間20分が経過していた。

結構つらい。まだ摂取したものがエネルギーになっていないのだろうか?

この頃から、右膝に違和感と痛みがあることに気づきはじめていた。



もうひと踏ん張りの登りを経て、どうにか三頭山山頂(1527.5m)へ到着。

コース途上の最高地点であり、丁度中間地点でもある36km地点。時間は21時48分。スタートから8時間48分。



ここでもまた休む。休む回数が増えてきた。

22時には第二関門の月夜見山第二駐車場に着くだろうという予測だったのだが。




標高差300mはある激しい登り。



やっとついた大沢山(1482m)山頂。



三頭山(1527.5m)。多くの人が休んでいる。


あまり休んでもおれず、出発することに。

すると、膝が全く前に運べないことに気づく。

前に差し出そうとするだけで激痛がほとばしる。

どうやら完全に痛めてしまったらしい。



ここから月夜見山第二駐車場までのおよそ6kmの道のりは、まさに地獄であった。



右膝を少しも曲げることができないため、ほとんど左足のみでバランスをなんとかとりながら、

足場の悪い急坂を一歩一歩下る。

後ろからはどんどん人が来て追い抜かれてゆく。

道が狭いため、どうにかよけられそうなところをいちいち必死で探して、

そこにたどり着いてから後続の選手に追い抜いてもらわなければならなかった。



バランスを崩すととたんに右膝に激痛が走り、そのたびに歩みを止めて木にもたれかかり、しゃがみこむ。

息が切れやすくなった。



一歩一歩が長く、辛い。



そのとき突然後ろから声をかけられる。

ずっと後ろを走っていたチームの仲間・岩崎が追いついたのだった。



「大丈夫ですか?」

「足をケガしちゃったよー」

「あまり無理すんなよ!」



と言いつつ、彼は闇へ消えていった。





びっこを引きながら、闇夜の山の中、無限とも思える道を歩きつづける。

ときには10人くらいの集団に一気に追い抜かれながら、ゆっくりと進むしか方法はなかった。



大勢の人が参加する大会だからまだいいが、

もし単独山行でこの状況だったら・・・と思うとゾッとする。





リタイヤが脳裏をよぎる。







こんなペースでは、ゴールは無理に近いだろう。

もしゴールできたとしても、あと12時間はこの状態で歩きつづけなければならない。

膝を故障し、苦痛に耐えながら、精神と肉体が果たして持つだろうか?

そこまでしてゴールを目指して、どれほどの意味があるというのだろうか?



ケガという外的要因による肉体的ストレスは、精神力をも一挙に消耗させることを思い知った。

普段の生活ではあまり感じないが、所詮はただの生身の人間・ただの動物であることを思い知った。



やっとの思いで第二関門・42km地点にたどり着いたのは、午前1時13分。スタートから12時間13分が経過していた。

三頭山山頂からの6kmを、3時間以上もかかってしまった。

第二関門の制限時間締め切りまではまだ3時間あった。

しかし、私はここでリタイヤを決意した。




40km地点。残り2kmで第二関門。



ロードと登山道が交互に出てくる。



やっと着いた第二関門。




日時2006年10月8日13時〜09日13時
コース奥多摩全山71.5km
出走2004名
完走1515名
総合1位沁在徳選手  7時間52分24秒
総合2位鏑木毅選手  7時間53分41秒
総合3位横山峰弘選手 8時間17分23秒


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