【残雪期アルパイン】五竜岳G0稜へ行ってきました
クライミング館 松田です。
先日久しぶりの春山登山で、北アルプスの五竜岳G0稜へ行ってきました。
Day 01.遠見尾根~西遠見幕営地
早朝に自宅を出発し、仲間と都内で合流。
車で中央道を突っ走り、一路白馬村へ。
お天気最高!
文句なしの登山が期待でき、心が浮足立つ。
遠見尾根のたおやかな山容と、その奥には厳つい五竜岳の東面。
リフト終点のアルプス平から約4時間の歩行で、
西遠見の手前の幕営適地に到着。
ひさしぶりに歩荷して疲れた。。
到着したら、早速整地して設営完了!
そして念のため、翌日の取り付きまでのアプローチのための踏み跡の確認。
誰かが下まで踏み跡をつけてくれているようなので、途中でテントへ引き返す。
そして、ビールで乾杯!
この瞬間のために生きてきたようなもの。笑
今回、人数が3人パーティということで、
テント泊にファイントラックのカミナドーム4を採用。
4人用なのに、総重量(テント本体・フライ・ポール)は2kgを切る軽さ。
そしてコンパクト!
しかも収納ケースがお弁当箱のような四角型に収まるようになっており、ザックの中のデッドスペースをなるべく作らない設計になっている。
60リットルザックに、シュラフ・冬用ギア・登攀ギア等を入れても無理なく収まりました。
通常、合宿サイズの4人用テント&ポールをパッキングしてしまうと、100リットルザックを想定してしまいますからね。。
やはり軽量コンパクトは正義ですねーー
そして、ベーシックなクロスフレーム型のドームテントで立てやすい!
設営作業の際、ポールスリーブも、滑りが良くて引っかかりがすくなく、通しやすいですね。
あと地味に便利だと思ったのが、フライシートのツートンカラーです。
これが、大きなフライシートを被せるときに、正しい向きを判別しやすい。
ボトム・側面生地ともにとても薄いので、
防風防寒性や耐風性でどうなのかな?と思いましたが、
全く問題はなかったです。
というか、今回は北アルプスの春山としてはこれ以上ない快晴で、風もなく、気温も夜中に0℃以下になるかどうかという程度で、非常にマイルドな気象条件だったので、過酷な条件でどうなのかはよくわかりません。
思ったのは、
側面の立ち上がりと天井の高さ。空間が広く過ごしやすい感じがしました。
テントの中で身長172cmの私が「中腰の姿勢」も取れるほどで、3人での使用だとかなりの余裕があります。
しかも両面出入口なので、3人いて誰かが出入りする際にもストレスがありません。
ちなみにフットプリントは今回使用しませんでしたが、
銀マットを敷いて、その上に個人マットを敷いての使用でも特段に問題は感じませんでした。
ただし、ボトム生地は30dの薄さなので、
厳冬期や地面の凸凹が激しい場所ではフットプリントはあったほうが良いかもしれません。
夕飯はベーコンたっぷりキャベツパスタ!
とてもおいしくボリューミーで胃が満たされてしまいました。
疲れた身体に染みわたりました
夜は20時に就寝。
翌日の登攀に備えます。
Day 02.G0稜登攀~西遠見~下山
朝4時に起床し、5時半に出発。
モルゲンロートで赤く染まった五竜岳が美しい。
取り付きまでは、シラタケ沢まで急な雪の斜面を下る。
明瞭な踏み跡があるが、朝の気温で氷化しているので、
油断すると斜面を滑落しそう。
逆にいえば、前日に取り付きまでの偵察をしてしっかりと踏み跡をつけておかないと、
もし踏み跡がない中でアプローチしなければならない場合、結構リスキーな感じになるな…と思いました。
シラタケ沢には巨大なデブリが。
こんなのに巻き込まれたら、人間などひとたまりもない。。
仲間とどのあたりから取り付くかを相談しあいながら登る。
最初は左のG2中央稜方面に伸びていたトレースを途中までたどって、そこから雪壁を登ろうかと思っていたが、
正面に立ちはだかるG0稜の右側からのほうに導かれ、
どうやらそちらからのほうが登りやすそうに思えた。
10分ほど沢沿いに登ったあたりから、左の雪壁に入る。
いきなりの急登。
まだ雪面はクラストしていて硬く、
ふくらはぎで踏ん張りながら登る。
一気にその雪壁を登りきると、稜の向こう側の景色をみてチャレンジアルパインクライミングに載っていた写真の場所に出た。
いよいよ本格的にクライミングが始まる。。
しかし、傾斜は45度ほどで、ロープを出さずとも問題はなさそう。
それにビレイポイントとして適当な場所もあまりない。
そのままダブルアックスで顕著なルンゼに突っ込む。
非常に快適!サクサクと尾根まで駆け上がる。
振り返ると、なかなかに迫力の傾斜!
これは滑ったら即アウトである。
バリエーションルートは、このしょっぱいシチュエーションに引かずに楽しめるかが勝負。
ダブルアックスでさらに数百メートル駆け上がったところで低木帯が出てきたので、ここで一旦大休止。
同行者が少し疲れ気味だったので、
サブザックを交代して軽い荷物をもってもらう。
そこからは、左にハイマツ藪・右に急雪壁というルート取りで再び進む。
上部はハイマツ藪と草付き岩場帯を歩く場所が増える。
アイゼンつけていると歩きにくい。
こういう場所では、爪の短い平爪アイゼンが比較的歩きやすい。
約3時間の登攀で、G0の頭に無事到着!
ロープは結局一度も出さなかったけど、気持ち良い登攀でした。
ここで同行者のひとりと別れ、
同行者は先にテン場に戻り、
私ともう一人で五竜岳頂上を目指します。
残雪の五竜岳は、数年前から何度か計画していたものの、天気の悪化や諸々の事情で結局行けずじまいになっていました。
それが今回、ついに登頂のチャンスを得ることができたのです。
一般道とはいえ、事前に聞いていたとおり
五竜岳山頂への道は結構危険度が高い。
しょっぱい雪壁のトラバースは、
ところどころ氷化しているので、ダブルアックスのほうが安心です。
最後の登りも傾斜がかなり急で、
G0稜と難易度はさほど変わらないほどかもしれません。
30分ほどで五竜岳に無事登頂!
素晴らしい景色でした。
下山には細心の注意を払います。
事故はむしろ、下山時に多発しますから。
五竜山荘で大休止し、
いよいよ最後の危険ポイント
「白岳のトラバース」です。
時間は昼前となり、気温がかなり上がっており、
雪も相当に緩んでいます。
上部から大規模な雪崩が起きる可能性が高く、
慎重かつ素早く通過します。
足がズボズボはまってしまい、
緊張で足が攣ってしまって思うように進めませんが、
祈る気持ちでトラバースは無事完了!ほっと一息
天気が非常によく、
スキーヤーやスノーボーダーが下から次々と上がってきます。
みんなこれから白岳をトラバースするのでしょう。
気を付けて通過してください~
テン場に戻ると、
結構な疲労。。
同行者がテントを畳んでくれたおかげで、
少し休むことができました。
テン場は昨日よりも多くの人たちでにぎわっています。
そりゃ絶好のロケーションですから、山屋には人気スポットなわけです。
もう動きたくない。
明日仕事じゃなければもう一泊してここで絶景を眺めながらビールでも飲みたい気分でしたが、
心を鬼にして下山です。
アルプス平の最終テレキャビンは16時30分なので、
それに間に合うように下山しなければなりません。
長い長い遠見尾根を再び歩きます。
中遠見山の登りの途中で、突然身体が動かなくなりました。
いわゆる「ハンガーノック」です。
今回行動食に、パンやおにぎりをもっておらず、
チョコとナッツばかり食べていたのが原因でした。
いつもだと行動食を余らせてしまっていたので、
今回は軽量化するために行動食を少し雑にしてしまったので、これは反省です。
仲間に即エネルギーに替わるサンドイッチと粉末ポカリを薄めた飲料、そしてエナジーバーを分けてもらい
どうにか復活しました。
そして15時45分にアルプス平に到着!
テレキャビンにも間に合い、無事下山できました。
行動時間は約10時間強
身体はバキバキに疲労困憊。。
しかし、五竜にはG2中央稜などの課題もありますので
また登りに来たいと思います。
ファイントラック・FAG0314 カミナドーム4
通常価格¥109,450(税込)
■4人用
■重量:1.990g(インナー、フライ、ポール)+150g(ガイライン、収納袋、ペグ8本)
■快適な居住空間
■高強度
■オールシーズン対応(スノーフライ・内張り別売り)
■長辺側の広い前室
■アウターの耐水圧1,600mm(初期値)
■インナーボトムの耐水圧1,800mm(初期値)
重量:1990g
収納サイズ:本体9.5×18×33cm ポール36cm
素材:インナー&フライ:ナイロン100%(PUコーティング)、ポール:ジュラルミン
原産国:日本
Color
- OG/GY(オレンジ/グレー)
- GR/GY(グリーン/グレー)
お問い合わせ先
さかいやスポーツ クライミング館
住所: 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-20 (Googleマップ)
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