暴風雨にも負けない!ニーモ「タニ オズモ 1P」レビュー

発売から約1年が経過した「タニ オズモ」ですが、実際どうなの!?

そんな疑問にお答えすべく、 3月28日の春の嵐の最中、実際にテント泊してきました!!

昼間は曇りで夜から雨予報と、風速15m/sで強風注意報が出ていたこの日は私にとって絶好のテスト日和♪埼玉県にある馴染みのキャンプ場をお借りして、昨シーズンからモデルチェンジしたニーモ「タニ オズモ 1P」のテストを実施してきました!

日本の山岳シーンに合わせて設計されたニーモを代表するテント「タニ」。軽くてコンパクトながら設営の簡単さや快適な居住性から、既に愛用者多数の人気テントです。そんなタニが昨年から新しい生地の“オズモ”ファブリックに変更されアップデート!

今更ですが、前半ではアップデート内容の詳細に触れつつテントの紹介を。後半に暴風雨を一晩明かして実際の使用感や気づいたことを包み隠さずまとめます。

これからテント泊登山を始められる方も、買い替えを考えている方も必見です!

小さくて軽い!女性にも安心なパッキングサイズ

購入時のパッキングサイズは縦長で、個人的にはちょっとパッキングしずらいかなと思うところ。。。今回はフットプリントも使用して一緒にパッキングしているので、ポールを含むテント本体、フライ、フットプリント、ペグ等をすべてスタッフサックに収納した際の実寸は約46×7×9cm。

私ならポールを別に収納しなおしてできる限り小さくパッキングしたいところ。実際やってみると右下の画像の様なサイズ感に。ポール以外のテント本体とフライ、フットプリント、ペグ等をスタッフサックに収納した際の実寸は約31×6×9cm。縦15cmとだいぶコンパクトになりました。

ポールはバックパックに外付けすれば容量を有効に活用できてオススメです!

ちなみにフットプリントとはテント本体の接地面を砂利や石の傷付きや破れから保護したり、雨水を吸い上げないようにする専用設計のグランドシートのこと。個人的には草原や理想的な環境でのテント泊をできる山や場所は限られるので、必須かと思います。大事なテントを傷つけたくないですよね。 

重量は一人用(1P)でテント本体、フライ、ポールを合わせた重量が1,120g。2人用(2P)は1,240g(公式より)とまずまず。2Pと1Pとでわずか120gしか変わらないというの迷いどころですが。

ちなみに朝テントをたたんでいる際に気づいたのが、昨晩雨が降っていたにもかかわらずテントが軽いままだというところ。

これまで使ってきたナイロンのフライシートであれば雨や湿気を補水して、重くなります。それをほとんど感じないというのはこの後詳しく説明する“オズモ”ファブリックの性能なのでしょう。

インナーテントはオズモ生地ではないので、設営時にできる限り濡らさないようにするのがポイントです。

どこでも誰でもカンタン設営

初心者の方は特に気にされるであろう設営のし易さ。タニは2本の交差させたポールに対してフックでテント本体を吊り下げるだけのエントリーユーザー様にも設営がカンタンな自立式テントです。

これに対してテント本体のスリーブに2本のポールを交差させて通す設営方式があるのですが、ここ最近は吊り下げ式が非常に人気です。

吊り下げたインナーテントにフライシートをかけ、ペグダウンするとこんな感じ。以前のモデルよりグリーンの色が淡いアース系のカラーに変わって自然との親和性がアップした印象です。

私が一番気になっていたのが下の画像のニーモ独自のポールエンド。風が強いときにポールが外れたり、鍵状に固定できるフライシートが外れたりしないのかなぁと疑っていました。暴風雨を一晩明かしての結果はこの後にテスト環境の動画と併せて記しておきますが、見た目は金属製で壊れにくく、ポールをはめる際にも力が要らず非常に設営しやすいです。

また、今回のブログのインサート写真を撮影するために家族を連れて来ていたので、折角ならばと今まで一度もテントを設営したことのない妻に実際に設営してもらいました。

パッキングされた状態からフライシートのガイラインをペグダウンするまでに要した時間はなんと!

7分40秒!!

これが早いのか遅いのかは何とも言えませんが、特に難しかったり力を要することはないそう。他のテントならどれほど時間がかかるのかはまた今度検証することにして、初心者の方の参考にはなるでしょうか。

解放感バツグンの大きな入口

さて、気になる「タニ オズモ」の居住性ですが、まず紹介したいのがニーモ特有の大きなエントランス。二人並びながら靴ひもを結べるのではないかと思わせるほどの解放感ある開口部は気温の高い夏場でも通気が良く快適そのもの。入口を開け放ってテントに寝そべりながら景色を眺めるのも良いかもしれません。これだけ広い前室なので、身長が174cmの私でも窮屈に縮こまらず靴ひもを結べています。

入口奥の壁にはテント内から開閉可能な大きなベンチレーションを備えており、フライシート内側にある黒いバーを上げ下げして調整が可能です。夏の暑い時期でも入口とベンチレーションを活用することによって、風の通り道として快適に効率的な換気を可能にします。

もちろん、日本仕様の「タニ」は入口とベンチレーションの開口部を含むメッシュのみの部分はありません。海外のテントや軽量テントはメッシュが多く、高山では夏でも寒いことがありますので。

活用性◎広々とした前室

天候が良くない山岳シーンにおいて多用途に活躍するのが、テント本体の入口側にできるフライシートの下のスペース。いわゆる前室なんですが、例えば雨をよけて靴の脱ぎ履きをしたり就寝時にはそのまま靴を置いておいたり。時には食事を煮炊きしたり汚れたギアを置いておくためにも使用したりします。

日本のテントだと大体張り出し部分が最大で40cmほどといったところですが、「タニ オズモ 1P」で測ったところなんと最大で70cmとかなり広め!40Lザックも余裕で置けてしまう十分な広さです。

快適に寝ころべるテント内

いつも私が夏山で使用しているシュラフマットはニーモのスイッチバック レギュラーサイズ。このマットが横幅51cm、縦181cmなのでマットを敷いた状態で横にギアを広げられるほどの床面積の広さ。

ほとんどの日本の山岳テントは一人用で幅90cm、2人用で120cmが一般的なサイズ感。しかしながらニーモはアメリカブランドなため、日本仕様のタニであっても一人用(1P)で105cmというから嬉しいところ。ちなみに2人用(2P)は130cm。これ以上広くても重さが増したり設営場所に困るなんてことも考えられるので、ちょうどいいサイズ感でしょうか。

私を始め、おひとり様テント泊なら「タニ オズモ 1P」でも十分に広々使えます。

ただし、2人で行く可能性がある場合には2Pの方を強くオススメいたします。さすがに1Pのテントに二人は緊急時でもない限り厳しいです。小柄な女性の方であっても、寝袋がインナーテントの壁に触れてしまい濡らしてしまいます。2Pをポールとテント本体とでうまく分担して持っていくのがいいと思います。

撤収も楽々な超撥水“オズモ”生地

今回のアップデート内容として一番重要なポイントである“オズモ”ファブリック。100%リサイクル糸で織られ、生産時に有害な化学物質を使用せず、濡れた状態での伸縮性が従来の生地より3倍低い優れた撥水性と難燃性基準を満たした生地だそう。

重量の話でちょこっと触れましたがこの生地、雨の中でテント泊した後も水をほとんど吸わず表面がサラッとしたままでした。ほかのテントであれば絞れるくらいに補水して帰りは重くなのが普通です。もしコップ一杯水を吸うとしたら+150gといったところでしょうか。

下の画像は暴風の最中の明け方にどれほど雨がしみ込んでいるかを確認した画像です。まるで霧吹きで水を吹きかけたかの如く、しみこむことなくフライシートを水滴が転がり落ちていく。やっぱ“オズモ”生地、凄い。

春の嵐。ニーモ「タニ オズモ」で暴風雨を明かして

暴風雨の夜、テント内から映像で撮影してみました。

この日はテント本体の四隅と前後左右の計8か所をペグダウンし、ポール中間部のガイラインは使用しなかったのですがこの通り。もっとテント内が揺れたり、軋むような音がすればガイラインを張ってさらに安定させることも可能ですが、風速15m/sではその必要もない安定感でした。

テント自体のハリ具合も、通常雨の後は何となくくたびれたように弛みがちなのですが特に変わりはないような印象でした。これにより強い風が吹いても内部空間が圧迫されたりといったことが少なくなります。

さて、ニーモ独自のポールエンドでフライシートが外れたりしないのかという件。

結果としては風速15m/sの中で外れたりすることはありませんでした。フライシート四隅についた鍵状の金属パーツをテント本体のポールエンドに差し込むんだ後、フライシートにたわみが無いよう均一に調整用のベルトを引くと簡単にテンションが張れます。この調整をしっかり行わなければ外れてしまうリスクも無いとは言い切れません。

タニ オズモの保温力に関しまして

この日の最低気温は5℃で、私が使用したシュラフは一般的な3シーズンシュラフでした。外が大雨のため、テント内はメガネが曇るくらいにはこもったように暖かく快適でした。このこもった空気はインナーテントのベンチレーションと入口下部のメッシュにすると空気の流れができ、5分と経たないうちにカラッと湿度が下がりました。これならさらに気温が低い環境下でも使えそうだと感じました。

一人用の1Pを選ぶか、2人用の2Pにするか

前述したとおり一人の登山であれば1Pで十分快適に過ごせるのが「タニ オズモ 1P」の魅力です。しかしながら、2人で行く可能性がある場合には「タニ オズモ 2P」を選ぶ必要があります。一人で2Pを使うのはさすがに広すぎるのでは?といった声が上がりそうですが最近では一人で快適に広々2Pを使う方が増えてきており、ダメではありません。大は小を兼ねるとも言いますし。

これまでも欲しい時期に売り切れてしまうほど人気で愛用者が多かったニーモ「タニ」。今回のアップデートは使用してみてその良さを実感した、これまでにない革新的なものでした。

店頭にて接客する中で、軽量さと使いやすさのバランスを求めていらっしゃるお客様が多く感じます。それはエントリーユーザー様であっても、ベテランのユーザー様であっても同じ傾向であり皆様に共通するのではないかと。
私だって軽くて対候性を持った快適なテント・ギアを探し求めるアウトドアユーザーの一人。もちろん、探し求めていくうちに失敗したことも何度かありましたが。。。テントのような大きい買い物で失敗したくないですよね。
じっくり悩んで、いろいろ比較して、専門店で詳しいスタッフに話を聞いて決めるのが一番です。万人に合うテントもギアもおそらく存在しないでしょう。それでもイチオシを挙げるのであれば、私は数ある山岳テントの中からニーモの「タニ オズモ」を選びます。

ニーモ「タニ オズモ」は山岳シーンでの快適な居住性と歩行中の軽量性のバランスを求める方に大変おオススメな山岳テントです。

吊り下げ式で設営カンタン、開放的で大きな横入り口、広々とした前室と内部空間、軽量コンパクトな超撥水オズモ生地
がニーモ「タニ オズモ」の魅力ではないでしょうか。

日本の山岳シーンを想定して設計された安心のこの山岳テント。一人用の1Pと2人用の2Pの二種類からお選びいただけます。

これからのテント泊登山を軽やかに快適に、ニーモ「タニ オズモ」を相棒にいかがでしょうか。

NEMO/ニーモ タニ オズモ 1P NM-TNOS-1P

販売価格 ¥72,600(税込)

NEMOが日本の山岳シーンのためにデザインしたフラッグシップモデル、タニがOSMOバージョンにアップデートされました。
マテリアルの変更により耐久性が向上し、ベンチレーションにより様々なコンディション下で効果的な換気/温度調整が可能です。本体重量がほぼ1kgという軽量な仕上がりを実現しました。

就寝人数:1人
最小重量(テント+ポール):1.12kg
フロア面積:2.1平方m
前室床面積:0.8平方m
フライシート素材:OSMO リップストップ (ナイロン/ポリエステル)
本体素材:15Dナイロン/メッシュ
フロア素材:OSMO リップストップ (ナイロン/ポリエステル)
付属品:スタッフサック、ガイライン、ペグ
生産国:中国

NEMO/ニーモ タニ オズモ 2P NM-TNOS-2P

販売価格 ¥82,500(税込)

NEMOが日本の山岳シーンのためにデザインしたフラッグシップモデル、タニがOSMOバージョンにアップデートされました。 マテリアルの変更により耐久性が向上し、ベンチレーションにより様々なコンディション下で効果的な換気/温度調整が可能です。本体重量がほぼ1kg強という軽量な仕上がりを実現しました。

就寝人数:2人
最小重量(テント+ポール):1.24kg
フロア面積:2.9平方m
前室床面積:0.9平方m
フライシート素材:OSMO? リップストップ (ナイロン/ポリエステル)
本体素材:15Dナイロン/メッシュ
フロア素材:OSMO? リップストップ (ナイロン/ポリエステル)
付属品:スタッフサック、ガイライン、ペグ
生産国:中国

お問い合わせ先

さかいやスポーツ クライミング館

住所: 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-20 (Googleマップ)
電話番号: 03-3262-0617
営業時間: 11:00-20:00(年中無休・元旦を除く)

取り扱い商品:テント、タープ、ツェルト、テント関連品、クライミング用品全般、アックス、沢靴、山岳書籍・DVD

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