湯河原幕岩・マルチピッチクライミング「悟空スラブ」

通販部matsudaです。

新緑の眩しい5月。
今回ウェア館の宮部と、湯河原幕岩のマルチピッチ「悟空スラブ」に行ってきました。

全3~4ピッチ・グレードは5.4~5.7程度で易しく、
クライミング未経験者でも楽しめるルートです。

【駐車場から悟空スラブ取付までのアプローチ】

夜釣り明けで死ぬほど眠そうなM部

当日は朝9時すぎに幕山公園の駐車場を出発。

湯河原幕岩にはこれまでに何度も訪れてはいましたが、
悟空スラブには今回初めて行くので、アプローチはよくわかっていません。
ネットで事前に調べた情報と、日本100岩場のトポを確認して、
おおよその概念だけを頭に入れて歩きます。

まずは、一番ポピュラーなフリーのエリアである桃源郷と希望峰に向かいます。
(※しかし、新緑が生い茂って岩場が外から見えず、分岐を見つけられずに1度通り過ぎてしまったことは極秘中の極秘)

希望峰では、「帰還兵」「シャクシャイン」「コンケスタドール」などのルートがある、すっきりとした美しい垂壁を横目に、左のほうの踏み跡へと分け入ります。ここから先は初めてです。

結構な急登が続き、またところどころに分岐があったりして、若干迷いながらも
随所に設置されているお助け紐に導かれながらひたすら登ります。

途中目印となる岩とかも一切なく、なかなか目的のスラブも見えてきません。
さすがに暑くなってきて汗が吹き出し、体力も吸われはじめます。
もしやアプローチ核心?

本当に道が正しいのか自信がなくなってきた頃、
後ろからヘルメットをかぶったクライマーがひとり後ろから追いついてきました。
「悟空ですか?」と聞かれたので、彼らと目的地は同じだとわかります。

まもなく尾根から右方向へトラバースすると、
その後5分ほどで、濡れた枯葉がもっさり積もった沢筋に出ました。

この沢筋を詰めると、すぐに上方に黒々としたスラブが現れました。

昨晩の雨でびっしょびしょ・・・

ここが目的地の悟空スラブでした。

到着時刻は9時55分。幕山駐車場から約45分。

既に先行パーティが取付いており、
2ピッチ目から3ピッチ目を登っている途中でした。

1ピッチ目は、中間支点がありませんが、見るからに簡単な傾斜の緩いスラブです。
ここはロープを出さずにそのまま端折ることもできますが、先行パーティもいることですし、せっかくの機会なのでここでクライミングの準備をはじめることにします。

【1ピッチ目・Ⅱ級  15m(宮部リード)】

緩傾斜スラブを直上し、2段目の岩にあるボルトでピッチを切る。
前日から夜半にかけて降り続いた雨により、岩は濡れている。

ここはまだ樹林帯で日が当たりにくいため、渇きが遅い。
右側にある木などでも豊富に支点は取れる。

【2ピッチ目・5.4  15m(松田リード)】

樹林帯を抜け、悟空スラブの下段へ。
途中のアンカーはRCCボルトもあるが、特になくても全く問題なし。

スラブ下部右方の棚で一旦ピッチを切る。

【3ピッチ目(下部スラブ)・5.5  30m(松田リード)】

当ルートで最も気持ちの良いピッチ。
傾斜は45~50度程度。

開放的な3ピッチ目

後ろ側の景色が開け、湯河原の街と青い海が見渡せて解放感がすごい。
簡単なのでサクサク登れる。

中間支点は、RCCボルトとハンガーボルトが随所にある。

正面最上部に残置ビナとスリングが見えるが、続きのピッチは左にトラバースしてから上方に向かうので、ロープの流れを考慮して、一段下の棚でピッチを切る。

【4ピッチ目(上部スラブ)・5.6~5.7  55m(松田リード)】

当ルートの核心ピッチ。

スラブの岩が左方に移るので、
最初に5mほど左へトラバースする。

まずはスラブをトラバース

見上げると傾斜も少し立ってきて、やっとクライミングっぽくなってきた。
スラブなので、スタンスもところどころ細かくなるが、
手置きも足置きも概ね問題はない。

しかしアイゼントレとかで登山靴履いて登ったら、結構厳しくなるだろう。

中間支点は、RCCボルトとハンガーボルトが随所にある。
下部でちょっと色々もたついてしまったが、終了点で先行パーティに追いついてしまったので、一段下・5mほど手前のビレイポイントでピッチを切る。

ぽっかりと海に浮かぶ初島。その向こうには伊豆大島が・・・

さすがに高度感が出てきて、青い海がさらに広くなり、一層遠くまで見渡せる。
初島がぽっかりと海に浮かんでいる。行ってみたいなー。
後ろには新緑芽吹く山々、小鳥の美しいさえずり、吹き抜ける微風。
のんびりした、自然の空気。
心底リラックスできる時間。

こうした解放感と気持ちよさこそが、マルチピッチクライミングの醍醐味だと思う。

フォローで登ってくる宮部

フォローの宮部がビレイポイントに合流したときには、
先行パーティはその先へ進んでいたので、宮部にそのまま終了点まで行ってもらう。

4ピッチ目のビレイポイント
終了点でしばし休憩

終了点でランチタイム。
日陰で微風に吹かれつつ、持ってきたカレーパンを頬張る。
日陰にいるとむしろ肌寒い。薄手の長袖フリースを一枚羽織る。

30分ほど休憩した後、懸垂下降の準備に取り掛かる。

【懸垂下降(2ピッチ)】

終了点には頑強なラッペル用リングが設置されているので、これを使用。
フリクションコードでバックアップを取りながら懸垂下降。

悟空スラブは傾斜角度が緩く、岩の幅が狭く、その横はブッシュ帯もあるため、
懸垂下降に際して障害物が多い。ロープを投げ下ろしての懸垂下降は効率が悪いかもしれない。

身体の下にロープ束をぶら下げながらの懸垂下降とか、あるいはマルチピッチ用のロープバッグを使用していればスムーズかもしれなかったので、次回試そうかと思う。

いざ、懸垂下降

60mダブルロープで2回の懸垂で基部に降り立つ。
ということは、ルート長はおよそ120m程だ。

2回目の懸垂下降で基部の取付き着。60mロープでぎりぎり。

【下山】

2人とも無事降り立ったので、下山開始。

ここでいきなり道に迷ってしまう。
沢沿いにまっすぐ下降すると行き過ぎた。
少し登り返して道を探ると、谷を向いて右方向に獣道っぽい跡が。
そこをたどると、明瞭な踏み跡が続いていた。

・・・やはりアプローチ核心だな、と思った。
クライミング目的で歩く山道は、エテして悪い。
歩きにくいしわかりにくい。一度通過した道でも帰りにはよくわからなかったりする。
こういうところも含めて、クライミングもやはり山だなと思った。

帰りにみつけた案内板。希望峰のすぐ上にあった。登るときは下から巻いたらしく、見つけられなかった。

ショートルート「帰還兵」

約30分ほどの歩きで、希望峰の岩場に戻ってきたので、
少し余った時間でショートルートにも登りました。

トライしたのは「帰還兵(5.10c)」というルートです。

帰還兵(5.10c)。2006年にさかいやスタッフ数名で登りに行きました。

実は過去に登ったことがあるルートでしたが、
懐かしくなって久々に触ってみました。

結構むずかしく、1便目のマスターリードでテンション・・・
「え。こんなんだったっけ?(汗)」

でも、フリークライミングのこの追い込まれる感じは悪くありませんね。
このまま帰るのは悔しいので2便目を出し、レッドポイント(完登)できました。

一日の締めくくりに丁度良い感じとなりました。

帰りは海沿いのお店で豪勢な海鮮を食べて、おなか一杯に。
疲れた身体に新鮮なたんぱく質をたっぷりチャージして、
ご満悦な一日となりました。(完)

贅沢しすぎました。

matsuda

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