トレランシューズ比較考察~厚底シューズ~

昨年のトレイルレース全体がほぼ中止に追い込まれている状況から一転、今シーズンは各主催団体の皆さんの尽力で形は変わりつつも開催の方向で進めていただいていることにひとりのトレイルランナーとして本当に感謝極まりない気持ちでいっぱいです

そんなところで突然ではありますが、今年のレースの開催を踏まえたシューズ選びの参考となるようなページをと思い、トレランシューズの考察をしてみました
今回は、注目度の高い厚底系シューズをピックアップして色々比較していきたいと思います

最新モデルから話題の商品、長きに渡り信頼を得てきた定番モデルなどを様々な角度から考察してみましたのでご参考にしていただければ幸いです

候補となっているシューズは以下の5点


THE NORTH FACE  FLIGHT VECTIV
HOKA  MAFATE SPEED3
ALTRA  OLYMPUS4
SALOMON  S-LAB ULTRA2
LaSportiva  AKASHA

以上5点です

THE NORTH FACE FLIGHT VECTIV
HOKA MAFATE SPEED3
ALTRA OLYMPUS4
SALOMON S-LAB ULTRA3
LaSportiva AKASHA

まず、おさらいとして候補5点のスペックを見てみましょう

プロダクトスペック

●THE NORTH FACE FLIGHT VECTIV
メーカー希望小売価格:¥28,050(税込)
重量:285g(メーカー公称値)
オフセット:6mm
主な素材:アッパー Matryx® エンジニアードメッシュナイロン採用
     ミッドソール 3Dカーボンファイバープレート ハイリバウンドEVAミッドソール
     アウトソール Surface Control™採用のTNFオリジナルソール

●HOKA MAFATE SPEED3
メーカー希望小売価格:¥22,000(税込)
重量:316g(メーカー公称値)
オフセット:4mm
主な素材:アッパー リサイクルポリエステル生地とストレッチタンを合わせたハイブリッド構造
     ミッドソール コンプレッションEVA
     アウトソール オリジナルパターンVibram®Megagrip、ラバライズドEVA

●ALTRA OLYMPUS4
メーカー希望小売価格:¥20,900(税込)
重量:329g(メーカー公称値)
オフセット:0mm
主な素材:アッパー エンジニアードメッシュ
     ミッドソール コンプレッションモデルEVA
     アウトソール Vibram®MegaGrip™

●SALOMON S-LAB ULTRA3
メーカー希望小売価格:¥24,200(税込)
重量:290g(カタログ公称値)
オフセット:8mm
主な素材:アッパー Anti-debris Mesh
     ミッドソール EnergyCell™+ EnergySave
     アウトソール Contagrip® MA

●La Sportiva AKASHA
メーカー希望小売価格:¥18,480(税込)
重量:330g(メーカー公称値)
オフセット:6mm
主な素材:アッパー Breathable Air Mesh + PU leather at the rear and Dynamic ProTechTion at the toe
     ミッドソール injected EVA and Cushion Platform
     アウトソール FriXion XT dual density with Trail Rocker system

長所

こうして見ると、厚底系シューズと言われていても使っている素材、パーツなども違い、かなりレースシチュエーションや天候条件、サーフェイスなどで選択が変わることを想定させられる仕上がりですね
それぞれ特徴とセールスポイントをみてみます


まず、THE NORTH FACE FLIGHT VECTIV
前回最速レビューの際にも言っていますが、あらゆる条件で走ることを想定した仕上がりになっています。メーカーのウェブサイトにはトップランナー向けに仕上げた的なことが書かれていますが、シューズを履いて試したスタッフは決してトップ選手ではありません笑 もちろんトップ選手やエリートランナーの方が履けばさらに性能を引き出してくれるシューズとなるのでしょうが、ピーキーで扱いにくい仕上がりになっているわけでは無いのでむしろ靴に助けられたいランナーには価格が許せば、ぜひ履いてみていただきたいシューズの一足です


そしてHOKA MAFATE SPEED3
厚底系シューズの先駆者らしく、様々なモデルがリリースされていますが、その中で安定感とバランスの良い仕上がりになっているモデルをチョイスしました。路面条件が悪く、足元への不安がある場合などに安心感をもたらせてくれるバランス感覚が一日の長というべき仕上がりになっています
グリップも「Vibram®Megagrip」を採用して安心のグリップを確保しながらも、不必要な部分にはむき出しのEVA(もちろん耐久性を向上させたHOKAオリジナル)を使用することにより、軽量化とシューズのバランス性の向上に役立っています


続いてALTRA OLYMPUS4
ゼロドップと独特のつま先形状で見てすぐALTRAとわかるシューズの仕上がり。少しずつモデルが熟成されており、今回の「OLYMPUS4」の出来は、やはり良い出来。今までは少しクセが強く、好き嫌いが出やすかった印象だったモデルだったのですが、このモデルに関しては万人に受け入れらるモデルになっています。ソールのパターンやフラットな仕上がりから安定感は万全ですが、さらに厚底なのに足裏感覚を感じられる不思議な仕上がり。足へのダメージは軽減してくれていながら、細かな路面情報さえも感じ取れるというのはゼロドロップだからでしょうか

引き続きSALOMON S-LAB ULTRA3を見て見ましょう
まさにトップランナーのためにリリースされたモデルの最終形とも言える熟成度はサロモンらしい。履く人が選ばれていた以前のモデルから足入れに関しては幅広い方々から評価されるフィット感高めだけれど、指先や付け根付近にかかる負担を最小限にとどめることに成功した仕上がりは、沢山のアスリートを有し、あらゆる意見を受け入れる素地が出来合っている結果と思われます。硬めでレスポンスが良く、推進性の高いソール構造がより高みを目指すランナーにとって信頼おける武器となってくれるでしょう

最後にLaSportiva AKASHAです
自らのカテゴリーをトレイルランニングと呼ばず、マウンテンランニングと位置付けるカテゴライズは本格的な山岳域での使用を想定しているあらわれとも言えるのでは無いでしょうか
安定感を感じつつも転がり性能が高いアウトソールには定評のあるソール「FriXion XT」グリップ力と耐久性が高い次元で両立しています。さらにスポルティバらしくなく(失礼)ロッカーシステムが搭載されることで硬めのソールながら走りに影響が無いよう仕上がっています。
アッパーデザインもつま先部分は適度なフレックスが可能なようにナイロンメッシュ生地はやや柔らかめに仕上げつつ、甲を押さえる外羽根式のパネルでしっかりと中足部分を覆いながら、まるでバケットシートのようなヒールカウンターがシューズの一体感をより一層高めてくれます。
意外にもこのサポート感高めのシューズは海外のウルトラ系に数多く参戦されている女性の方々から高い評価を頂き、非常に人気が高い製品となっています。重そうに感じて安心感が長丁場の信頼性につながるからでしょうか

短所


いい面は不安要素の裏返し。これらのシューズのウィークポイントがどこにあるかを考察します

TNF FLIGHT VECTIV
 ラグ(ソールの溝)が浅い。マディなコンディションでグリップ力が心配。

HOKA MAFATE SPEED3
 ソールが非常に厚底、さらにラグ(ソールの溝)が深い。その為、路面情報が乏しくなる
 幅が少々細めなので履ける人が限られる可能性があり

ALTRA OLYMPUS4
 良くも悪くもゼロドロップ
 トゥボックスやや広め
 慣れが必要

SALOMON S-LAB ULTRA3
 前後のオフセットが厚底系にしては強め
 アッパーが柔らかめながらレース仕様のためタイトフィット!細身に感じる人も?!

LaSportiva AKASHA
 ソール硬め
 全体的ゴツイ
 登山靴を思わせる履き心地。細かい反応は得意ではなさそう

以上が候補5点のシューズのマイナスになりそうなポイントです
長所のそばに短所あり!?いいところの裏返しのようですし、細かい点ですが意外とこの辺りを気にしている方は多いのでは無いでしょうか?
しかしながら、マイナスポイントがあっても得られる恩恵が現在の厚底系シューズには大いにあるのではないでしょうか

それでは、ここからさらに個々の違い細かくを見てみましょう

ソールパターン

THE NORTH FACE FLIGHT VECTIV
HOKA MAFATESPEED3
ALTRA OLYMPUS4
SALOMON S-LAB ULTRA3
La Sportiva AKASHA

ソールパターンも各社特徴があり、だいぶ違いを感じます。やはりTHE NORTH FACE FLIGH VECTIVとSALOMON S-LAB ULTRA3の2社のソールはスピードモデルというべき仕上がりでラグ(ソールの溝)が浅め、転がり性能が高い傾向が見受けられます。それと比較するとLaSportiva AKASHAとALTRA OLYMPUS4はいかにも食いつきそうなパターニングですね。そこから見ていくとHOKA MAFATE SPEED3はしっかりとラグ(ソールの溝)がありつつ走りの影響は少なそうです

ロッカー構造のちがい


さらに厚底系では走りに有利になるロッカー構造も各社意味合いというか、味付けが違います
以下の画像をご覧ください。

※ロッカー構造
 シューズ先端のソールの反り(迎え角)のこと。この反りがあることで重心移動でスムーズに前進することが可能となる

THE NORTH FACE FLIGHT VECTIV
HOKA MAFATE SPEED3
ALTRA OLYMPUS4
SALOMON S-LAB ULTRA3
La Sportiva AKASHA


どうでしょうか。。各社ロッカー構造の深さ、長さなどが違います
こうして見ると厚底系トレイルモデルでも各社のプロダクトデザイナーの意図が読み取れてきて非常に興味深いです。走りやすさやスピードを求める系のシューズは深めのロッカー構造となっており、安定感を優先しているシューズには逆に指先近くまで路面を感じられるように安定感を保ちつま先先端に反りがあります。実際のペースに乗れる走りやすさなどは、このロッカー構造にプラスシューズのドロップ(オフセット)やミッドソールのクッション性能、反発性などと相まって走りに違いが生まれてきます

足幅の違い


足幅の差は履き心地やフィーリングで足への印象が変わるのでそのあたりも含めてチェックします

THE NORTH FACE FLIGHT VECTIV
HOKA MAFATE SPEED3
ALTRA OLYMPUS4
SALOMON S-LAB ULTRA3
LaSportiva AKASHA

幅はなかなか見た目だけでは判断つかないところです。実際に足入れしてみたところ、単純な幅での評価がしにくいという困った状況。だいぶ個人的ではありますが、実際に履いた際に感じたフィーリングをお伝えします。ですのでこちらはご参考程度で。。。

幅の広さを確認してみたのですが、もちろん個々に違い特徴的ではありますが大きくこれが幅広、こっちが細く狭いと言い切れないところが多々あります。ですので単純な評価がしにくい状況。むしろシューズの作りの違いがつま先周辺のフィーリングや履き心地に影響しているように感じます。以下個人的に履いてみてトレイルを走ってみた印象です

TNF FLIGHT VECTIV
 ニュートラルな履き心地ながらしっかりと締まるフィーリング。適度なつま先加減も悪くない印象

HOKA MAFATE SPEED3 
 しっかりとしたアッパーと相まって、ややタイトな印象。甲側の高さも少なめでビシッとしている。サイドの溶着パネルが横ブレを抑制し、サポートしている印象

ALTRA OLYMPUS4
 独特のフットシェイプでつま先のゆとりを感じる。甲や、指先側の高さが低めなため、見た目ほど足幅の広さを感じることはない。一体感がありつつ指先の自由度がある

SALOMON S-LAB ULTRA3 
 一番レーシーな印象ではあるが、ロング系を想定しているからか、つま先側にゆとりあり。無理な屈曲を行ったとしても折れシワで指の付け根にストレスを感じることは無い。ただしシューズ全体がソックフィット構造なので足に吸い付くようにピチッとしている

La Sportiva AKASHA
 足幅はそこそこだが、ゆったりと感じる。天井側に余裕があり、つま先を自由に使える印象。長い時間履いていてもストレスを感じることは少なそう。

踵周り


そしてヒールサイドのチェック!!

THE NORTH FACE FLGHIT VECTIV
HOKA MAFATE SPEED3

ALTRA OLYMPUS4
SALOMON S-LAB UTRA3
La Sportiva AKASHA

TNF FLIGHT VECTIV
 ヒールパッドなどはほぼ封入されていないものの、フィット感良好。抜けたりズレたりはしない

HOKA MAFATE SPEED3 
 しっかりとしていてしかも優しいヒールパッドが踵を包み込みます。安心感高めです

ALTRA OLYMPUS4
 しっかりとパッドは入っているものの、ヒールトップラインは低め。さらにカウンターにはヒールカップになる樹脂素材は使用していない

SALOMON S-LAB ULTRA3
 薄くて細めのヒールが包み込むというよりは押さえ込む印象。ヒールでサポートというよりはアッパー全体で包み込む仕上げ。好き嫌いがあるが全体的に戦闘的で走る気にさせる

LaSportiva AKASHA
 登山靴のように踵を包み込む安心感。その点では反応の高さを求めるというよりもトラブルを起こしにくい構造の印象

 

ヒールカウンターについても見た目だけでもだいぶ違っています。レーシーでソックライナーのようなアッパーデザインの製品は踵側のパッドはそれほど重要では無いと考えられているのかほぼパッドなし。安定性やバランス性能を求めている製品にはしっかりとヒールのパッドが封入されていて踵を掴むようなデザインに仕上がっています。ただ、その中で、アルトラはゼロドロップシューズの為、安定性を優先されたデザインでありつつも踵のパッドはやや控えめ。面白いですね

どんなランナーの方にオススメか?どんなレースシーンに向いてる?

今まで見てきた個々の違いを元にどんなレースに向いているか? どんなランナーに最適かを考えてみましょう

高低差が少なく、路面のストレスが少なめなレースシュチュエーション
スピード重視で攻めたいヒトに!
ロードシューズの感覚で走りたいヒトに!
SALOMON S-LAB ULTRA3

アップダウンはあるものの全般的に走り続けられるサーフェイス
スピード感を感じながら走りたい!
PB目指すぜ!
TNF FLIGHT VECTIV

悪路が多く、 岩場などのセクションもあるがしっかりスピードに乗って走れて攻めれるシューズ →HOKA MAFATE SPEED3

身体を効率的に使い続け後半でもペースが落ちないようシューズ側が優しくサポート。攻めすぎず追い込みすぎない。でもちゃんと結果を残したい
ALTRA OLYMPUS4

悪天候や足場の悪いサーフェイス、テクニカルなアップダウンの連続など心身ともに追い込まれる状況下の中で常に信頼の置ける相棒として履き込める
LaSportiva AKASHA

さらに上記の考察を視覚的なインジケーターに落とし込んでみました。イメージがつくでしょうか

こうして見ると、スポルティバ、アルトラが安定感を重視し、スピードに乗って走りやすいモデルはサロモン、ノースフェイスとなっており、バランス性に富んでいるのはホカという結論に至ります(あくまでも個人の感想です)

いかがでしたでしょうか?
今回は、厚底系5点を比べてみましたが、かなりの違いを感じていただけたかと思います

ご自分の想定しているレースや山域に向いたシューズ選びの目安になりましたでしょうか?
どちらにせよトレイルランニングシューズ選びは相棒としての側面が強いモノ。
長丁場の相棒選びの一助となって頂ければ何よりです

勿論厚底系は、上記5種類のみではなくここに上げることができなかったブランドや製品にもとても良いシューズがたくさんあります。さかいやでももちろん展開しています。

シューズに関してはご自分の足に合うかどうかが一番のキモになってくるものです。フィット感やフィーリング、走り心地でチョイスするのも勿論アリですが別の角度から見てみると更に選択肢が増えますので今回のブログも是非ご参考下さい

ご自分のご希望や好みで選択肢が変わりますし、履き心地などが大きく影響します。お店でお試し頂く事をお奨めいたします

更には今お持ちのシューズの調子を変えたい。またはちょっとのトラブルを回避したい。とお考えの方はインソールなどの工夫でもだいぶイメージが変わります。トレイル向きのインソールやカスタムまでいつもシューズ館に在籍しているスタッフが対応しますので安心してご相談いただけます。

※カスタムインソールの場合はフットチェック、カウンセリング、成形、加工までお時間がかかるのでご予約いただく方がベターです

シューズに関してのご相談はご自身の履いているシューズをお持ち頂く事でその方のクセや走り方などから対策を対応することが多いのでご相談などの場合は是非履いているシューズをお持ちください

シューズ館 斎藤

お問い合わせ先

さかいやスポーツ シューズ館

住所: 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-14 SP神保町ビル1F (Googleマップ)
電話番号: 03-3262-0433
営業時間: 11:00 - 20:00(年中無休・元旦を除く)

取り扱い商品:登山靴、トレイルランニングシューズ、クランポン、ウォーキングシューズ、サンダル、ソックス、シューズケア用品、インソール、サポーター、トレイルランニング用品、スキー用品

《2020年12月 クランポンはシューズ館の取り扱いになりました》

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